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河北省・蔚県(二) 今もとどめる村堡文化

2015-12-14 ソース:peoplechina.com 作者:単濤=文 佐渡多真子=写真

 

   西古堡内の大多数の民家は建築当時の姿を留めている

 

   西古堡内の地蔵寺。地蔵寺が映画『鬼が来た!』に登場して有名になり

蔚県の古村堡は訪れる人に、空がより高く遠く遥かにあり、大地がより多くの神秘性を持つように感じさせる。蔚県は「三多(三つの多いもの)」、つまり古村堡が多く、古い廟が多く、古い舞台が多いといわれる。古村堡の街頭には、若者を見かけることはとても少ない。若者はみな都会に行ってしまい、老人や子どもだけが残されている。昼間丘の上に立って、古風で質朴な村落を俯瞰すれば、あたかも世の中から隔絶された場所にいるような感覚になる。夜に古村堡内から満天の星空を見上げれば、静まり返った農村の美しい景色に身も心も伸び伸びするようだ。 蔚州村堡の形成は、特殊な軍事的要求と不可分だった。ここに駐屯した将兵の多くは家族を伴い、平和な時期にはその多くが農地開拓や農作業に従事した。そして人口の増加と農業の発展が村堡の整備を加速した。さまざまな大きさの村堡はほとんど塀や城門、甕城を持っており、塀の最も高い部分は高さ10メートルほどある。城門は厚い木の板をつないでできており、その上を鉄の板が覆っていてかなりしっかりと鋲止めされている。一旦外部からの侵入者があれば、この村堡は軍事的防御機能を発揮するようになっていたのだ。

蔚県から自動車で20分ほどのところにある暖泉鎮には長く枯れることなく、冬でも凍らない泉があり、そこから鎮の名が付けられた。この鎮の古村堡は現在も保存状態がとてもいい。暖泉鎮には「三堡六巷十八荘」の言葉が伝わっていて、群堡と村落がお互いに呼応する構成であることを示している。暖泉鎮の「三堡」とは北官堡と西古堡、中小堡のことだ。西古堡と中小堡は一つにつながった古堡で、一つの壁で隔てられ、鎮の西南方向を守る形になっている。かつて、山西の広霊から暖泉鎮に入るためには、西古堡外の北西の「西券門」を通り蔚州領内に入るのが唯一のルートだった。今でも門内部の敷石の上には、行き交う商人の貨車がつけたわだちが残されている。その城門の上には真武廟が建てられている。中国の古代建築では一般的に最も重要な門には神仙の加護が求められる。真武大帝はこの門を守り、この城市の安全を守っているのだ。西古堡内には100を上回る明清時期の邸宅が縦横に連なり、複雑で分かりづらい路地が作り出す巧妙な構造は、防御機能を高める役割を果たしており、敵と市街戦を繰り広げるのにとても有利だった。

西古堡の外の西券門を通れば、暖泉鎮で定期的に開かれる市に行くことができる。ここは商売と文化交流の重要な場所だ。市の立つ日には店を出す業者が集まり、大いににぎわう。そして毎月1日と15日、祝祭日には、ここで各種民俗の実演、上演が行われ、手つかずの山村の文化の息吹に満ちる。近年、この地の古色蒼然としたたたずまい、明清文化の風情をそのまま残す町並みは、映画やテレビ撮影チームの注目も集めるようになっている。有名なところでは、ジャン?ウェン(姜文)監督の『鬼が来た!』(2000年)のロケもこの西古堡で行われた。歴史ある暖泉鎮は、新しい観光的魅力も加えて変化している。

  

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